繁殖牝馬斡旋業務規程
この業務規程は、株式会社ジェイエス(以下『仲介人』という)が日本国内において取り扱う繁殖牝馬の売買(繁殖馬セールを除く)に対し適用するものであり、販売のために申し込みしようとする者(以下『販売申込者』という)及び購買を希望する者(以下『購買希望者』という)は、本業務規程を遵守しなければならない。
- (販売の申し込み)
- 第1条.
1.販売申込者は、仲介人が定める販売申込書に記入・捺印の上、当該馬の登録証明書の写しを添えて申し込みを行うものとする。
2.販売者は、当該馬の販売に関して何らかの特別な条件(フリーリターン特約、出生保証等)または制約(市場上場義務等)などを付帯させる場合は、販売申込書等の書面により仲介人へ届け出るものとする。
3.販売申込者は、販売申し込み後に、販売申込書に記載した事項に変更、訂正または追加がある場合、並びに販売の申し込みを取り消す場合は、仲介人へ速やかに届け出るものとする。
4.本業務規程により提出された書類において販売申込者が所有者と異なる場合は、仲介人は販売申込者を所有者の代理人とみなす。尚、所有者と販売申込者間の事故、紛争があった場合においても、当該馬の販売に関しては販売申込者が全ての責を負うものとする。
- (販売の方法)
- 第2条.仲介人は販売申込者から申し込みがあった繁殖牝馬の情報(血統、受胎状況、販売希望価格など)を購買希望者へ提出し、販売申込者と購買希望者との売買交渉を仲立ちするものとする。
- (公表事項)
- 第3条.仲介人は購買希望者に対し、販売申込者から申告があった悪癖、疾病及びその他の事項を公表するものとする。尚、公表事項に関する責務は全て販売者に帰するものとする。
- (当該馬の視察及び獣医検査)
- 第4条.
1.購買希望者は売買契約前に、自らの経費負担において、当該馬の馬体視察及び外見上の獣医検査を行うことができるものとする。
2.前項の場合、購買希望者は予め仲介人へその旨を申し出るものとする。
- (売買の成立)
- 第5条.
1.販売申込者が購買希望者の購買条件を承諾し、且つ、購買希望者が販売申込者の販売条件及び当該馬の現状を承諾した時点を以って、売買の成立とする。
2.前項において、販売申込者、購買希望者または仲介人の何れかにおいて何らかの不都合がある場合は、その売買は成立しないものとする。
3.売買の成立を以って、販売申込者を売主といい、購買希望者を買主という。
4.売買の成立を証するため、仲介人は三者間の売買契約書を作成するものとする。
- (売買代金の決済)
- 第6条.
1.買主は売買代金金額を売買成立の翌日より7日以内に仲介人へ寄託するものとする。但し、第5条第1項において、売買代金の支払条件が特に承諾されている場合は、この限りではない。
2.仲介人は前項において買主から寄託があった売買代金を速やかに売主へ支払うものとする。但し、第8条でいう関係書類の寄託を必要条件とする。
- (引取り前の獣医検査)
- 第7条.
1.買主は、自らの経費負担において、当該馬の引取り前に妊娠鑑定、その他の獣医検査を行うことができるものとする。
2.買主が前項の検査を行わず引取った場合は、売主及び仲介人は第9条第1項(3)、(4)及び(5)を除き一切の責任を負わないものとする。
- (当該馬及び関係書類の引渡し)
- 第8条.
1.当該馬の引渡しは、仲介人が買主より売買代金の金額を受領後、売買契約時に三者間で合意した場所にて行うものとし、その時を以って当該馬の所有権は買主へ移転するものとする。
2.当該馬の引渡しは、売買成立の翌日より7日以内に行うものとする。但し、第5条第1項において、引渡期日が特に承諾されている場合は、この限りではない。尚、売主は当該馬を買主へ引渡すまでの間、自身の責任と経費負担において善良な管理を行う義務を負うものとする。
3.売主は、財団法人日本軽種馬登録協会が発行した当該馬の登録証明書及び受胎馬における当該種付証明書を売買成立の翌日から7日以内に仲介人へ寄託するものとする。但し、日本軽種馬登録協会に当該馬の繁殖登録を申請中の為、登録証明書を寄託できない場合は、仲介人を繁殖登録証明書の受取人とする委任状を、約定期日までに仲介人へ寄託するものとする。
4.日本中央競馬会または地方競馬全国協会における馬名抹消手続きの為、当該馬の引渡し及び登録証明書の寄託を約定期日までに行うことができないことが売買の成立後に判明した場合、売主は書面を以って仲介人へ速やかに届け出て、35日を上限とする猶予期間を買主に求めることができるものとする。
5.前項の場合、買主においては売買代金の寄託期日を同様に延期すること、または売買契約を解除することができるものとする。
6.仲介人は売主から寄託があった関係書類を速やかに買主へ引渡すものとする。但し、第6条第1項でいう売買代金の寄託を必要条件とする。
- (契約の解除)
- 第9条.
1.買主は、当該馬が次号以下に該当する場合は、書面を以って仲介人を通じて売主へ届け出て、その売買契約を解除することができるものとする。
(1)第7条の検査において、第3条にて公表しなかった悪癖(さく癖、ゆう癖、身食い及び旋回癖に限る)及び疾病を発見した場合。
(2)第7条の検査において、繁殖牝馬としての適正を欠くと診断された場合、または、受胎馬として売買されたものが不妊と診断された場合。
(3)多胎妊娠であることを証明できる場合。但し、第3条において公表されている場合は、この限りではない。
(4)受胎馬において公表された受胎種牡馬または最終種付月日に誤りがあった場合。
(5)受胎馬として売買された馬の当該産駒が、財団法人日本軽種馬登録協会が行う登録審査において、登録拒否された場合。但し、性別が判然としないために登録拒否された場合については、この限りではない。
(6)引取り前に死亡した場合。
2.売主は、前項の解約請求に不服な場合は仲介人へ届け出て、その判定を仲介人が指名する獣医師に委ねるものとする。尚、この獣医師の費用は、最終的に当該馬を引き取った者が負担するものとする。
3.本条または第8条第5項において売買契約が解除されたときは、先に決済された売買代金の金額及び引渡された当該馬の関係書類を、その日より5日以内に仲介人を通じて相手方に返還しなければならないものとする。
4.本条第1項(3)、(4)または(5)に起因してその売買契約が解除される場合、買主は仲介人を通じて売主に対し、引取り日より解除された日までに要した妥当な経費の支払いを求めることができるものとする。
- (瑕疵担保責任)
- 第10条.第9条第1項に定めある事項を除き、いかなる瑕疵も担保しないものとする。
- (仲介料)
- 第11条.売買契約成立と共に、売主は仲介人に対して売買代金の5%を仲介料として支払うものとする。但し、一度納入されたものについては、いかなる場合においても返還を要しないものとする。
- (契約違反の場合の措置)
- 第12条.買主または売主が次号以下に該当する契約違反をしたときは、売買代金の20%に相当する違約金を違約が確定した日より5日以内に仲介人を通じて相手方へ支払った後、その売買契約を解除するものとする。
(1)買主が約定期日までに売買代金を寄託しなかった場合。
(2)買主が約定期日までに当該馬を引取らなかった場合。
(3)売主が約定期日までに関係書類を寄託しなかった場合。
(4)売主が第8条において当該馬の引渡しを拒否した場合。
- (その他)
- 第13条.本業務規程に定めなき事態が発生した場合は、民法、商法、家畜取引法並びに慣習に準拠し、三者間で協議の上善処するものとする。
- (施行期日)
- 第14条.本業務規程は、平成14年11月1日より施行する。